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HOME > 15章
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どうして無調整で補綴装置を入れなければならないのか |

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田中は下顎第一大臼歯に約300um高いクラウンを装着した場合、歯周脈波の振幅および
歯の動揺度は増加したと報告している。また本研究においても200um以下では歯周脈波の
振幅は減少する傾向にあった。
補綴物の高さが大臼歯は200um、小臼歯は150um以上であれば咬頭嵌合位は水平的
に変化しやすい。
また大臼歯は150um、小臼歯は100um程度でも被験歯周囲の咬合接触は咬合調整後も
完全にもとの状態に戻りにくい。逆に歯の咬合が低くなると大臼歯では咬合の不安定化を
まねきやすく、小臼歯では側方guideが緩くなりやすく新たな咬合干渉を誘発しやすい。
(文献 強い咬合接触が顎口腔系に及ぼす影響 〜症状および歯の移動、咬合接触状態の変化について〜 池田隆志、横山正秋、久保吉廣、中野雅徳、坂東永一 より引用) |
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術者が意図した咬合接触関係を口腔内のクラウンに実現することができるか、このことが
重要な意味をもつことになる。しかし実際には、クラウンは通法とされている間接法で作製
すると鋳造後に咬頭嵌合位で200〜300um高くなるので、意図した咬合接触関係は咬合
調整に依存することになる。 |
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クラウンの咬合調整の目標は、咬頭嵌合位で歯列全体として均等に咬合接触させること、
側方滑走運動時、前方滑走運動時にはクラウン装着前の歯列としての咬合様式を変化
させないこと、そしてクラウンに隣在歯などと類似した咬合接触点数、咬合接触面積、咬合
接触部位をもつ咬合接触関係を設定することである。 |
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(文献 咬合調整後のクラウンの咬頭嵌合位における咬合接触
栗山 實、長谷川成男、大竹貫洋、田中義浩、衣笠健一 より引用) |
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高すぎる補綴物や咬頭干渉がある補綴物は外傷の原因となって歯周組織、顎関節および
神経筋機構に重大な影響を及ぼす。また、逆に低すぎる補綴物は機能的にも不充分であろうし、
歯根膜の廃用性萎縮などを惹起する。
さらに、長期的視野に立てば、咬合高径の減少あるいは他の歯牙に咬頭干渉などを誘発する
原因ともなりかねない。それゆえ、補綴物の咬合面形態には厳密な精度が要求され、わずかの
誤差も許されないであろう。 |
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(文献 咬頭嵌合位における補綴物の高さが顎口腔系に及ぼす影響
田中伐平 より引用) |
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上下顎の歯列が接触した状態、軽く咬合した状態、強く咬みしめた状態、どういう状態に
ある歯列を模型に表現すべきか、目的を見定め、それに対して合致する模型の製作法を
考えていかなければならないであろう。
(文献 歯冠補綴物の咬合面精度に関する研究
〜全部鋳造冠の製作過程が咬合の高さに及ぼす影響〜
松下和夫 より引用) |
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強い咬合接触により歯周組織に負担過重を生じた場合、歯根膜圧迫側は小範囲の
出血や挫滅をきたすとともに急性の外傷性炎症を生じ、牽引側は歯根膜の線維の一部
が離断され小出血などを生じる。
歯髄組織の神経線維や血管は主に根尖部歯周組織を経て歯髄に分布しており、強い
咬合接触により生じた歯周組織の障害は歯髄に波及する可能性がある。
大きな外力が急激に作用した場合、歯髄への動脈が根尖部で断裂され歯髄壊死を生じ、
あまり大きくない外力が急激に作用した場合、歯髄組織の充血、水腫あるいは小出血などを
きたす。
強い咬合接触により歯列全体としても咬合接触状態は大きな影響を受け、咬合調整後も
もとの状態と異なっている場合があった。
(文献 強い咬合接触が歯の感覚および歯周組織に及ぼす影響
池田隆志 より引用)
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